生命保険を活用した生前贈与
相続対策で、保険活用・生前贈与をしたいとご検討中の方は多いと思いますが、生命保険を活用することで以下のようなメリットが可能となってきます。
- 相続時のトラブルを軽減することができる
- 節税対策が可能になる
- 相続時の納税の準備金を貯めることが可能
- 贈与時の対策として活用できる
非常に、効果的な相続対策となってきます、以下に詳細をご説明します。
生前贈与に生命保険を活用
生前贈与としての財産で最も一般的なものは現金や預貯金ですが、子供(孫)に現金や預貯金を渡してしまうと、無駄遣いの恐れや金銭感覚を狂わせる可能性も出てきます。
上記のような心配・不安を防ぐ方法として、生前贈与に生命保険を活用すると効果的です。
現金や預金は簡単に使ってしまうことができますが、生命保険という形に換えることで、現金を簡単に引き出せなくなります。そこで次のような手法をとることができます。
子供は親から現金の贈与を受け、その現金を生命保険料の支払いに充て、次の契約内容で生命保険に加入いたします。
例)
保険契約者:子供
被保険者:親
保険金受取人:子供
上記契約では、被保険者である親の死亡時は、子供は死亡保険金を受け取ることとなります。この受け取った保険金で相続時の相続税支払いにあてることができます。
生前贈与に生命保険を活用するメリット
上記のように現金を生命保険に換えるだけで、親の死亡時まで現金が無駄遣いされることなく確実に貯金が可能となりました。したがって生前贈与をすることによって、現金は相続財産から除外されますので、相続税の節税となります。また、贈与する現金を年間110万円以下に抑えることができれば、贈与税もかかりません。
子供が受け取った死亡保険金は、子供自身が保険料を負担しているので、親の相続税の対象とはなりません、子供の所得税の対象(一時所得)となります。
一時所得は以下の算式により計算をします。
(受け取った死亡保険金-支払った保険料の総額-50万円)×1/2
支払った保険料の総額よりも多く死亡保険金を受け取った場合は、その多く受け取った金額から50万円を差し引いた金額の半分に対して所得税が課税されることになります。
一時所得は、総合課税として給与所得などと合算して所得税を計算することになりますが、利益の1/2部分にしか課税されないので、仮に所得税が最高税率だったとしても実質の税率は25%で済むことになります。
仮に、親の相続税の税率が30%を超えることが見込まれる場合は、子供で所得税の課税を受けた方が有利となってきます。
※生前贈与に生命保険を活用することは、計画的に相続税への備えをすることになります。
生前贈与に生命保険を活用する際の注意点
生前贈与にて生命保険をうまく活用することは、相続税・贈与税の節税になりますが、一点注意をしなければいけないことがございます。また良く検討しなくてはなりません。
生前贈与に生命保険を活用した場合に、受け取った生命保険金は子供の所得税の対象となります。
所得税・住民税は所得が多ければ多いほど税率が上がっていく仕組みになりますので、子供の所得が多い場合に有利・不利が出てきますので、十分な検討が必要となります。
【相続税】【贈与税の税負担と所得税】【住民税の税負担】
上記項目がどれ位の金額になるのか比較検討が必須となります。
比較検討を行うことで、保険料の年間支払額・死亡保険金額が決まってきます。また子供が複数人いればどの子供に対して生前贈与をすることが有利になるのか判断がつき易くなってきます。
生前贈与に生命保険を実際活用するには
生前贈与に生命保険を活用する大前提として、次の4つのことが必要です。
生命保険料に見合う現金を親から子供に贈与をする
親から子供へ渡される現金が生前贈与として成立していることが必要
親を被保険者として子供が生命保険に加入する
どのような生命保険に加入(親)するのかが問題
相続税対策に効果的な生命保険を選び加入する
生命保険には各種あるため、相続税対策に最も効果的な生命保険に加入することが必要
相続税対策に効果が出るよう保険金の受取人を考える
受取人を誰にすれば相続税対策に最も効果があるのかの検討が必要
生命保険料に見合う現金を親から子供に贈与をする
親から子供へ渡される現金が生前贈与として成立させるには、次のような準備が必要です。
- 贈与契約書を作成しておく
- 親が子供の預金口座へ現金を振り込み、生命保険料は子供の預金口座から引き落とす
- 子供の預金口座について、通帳や印鑑は子供が管理していること
- 支払った生命保険料は、親の所得税を計算時に生命保険料控除を利用しない
親を被保険者として子供が生命保険に加入する
生命保険の課税関係は、生命保険の契約の形態により異なりますので、どのような形態で加入するのかが重要な点となってきます。生命保険にはいろいろな種類があり、どのような生命保険に加入すれば相続税対策に効果的なのか検討しなくてはなりません。
課税関係は生命保険の契約形態により以下次のように異なります。
被保険者 | 保険料負担者 | 受取人 | 課税関係 |
父 | 父 | 子 | 相続税 |
父 | 母 | 子 | 贈与税 |
父 | 子 | 子 | 所得税 |
生命保険の契約の仕方によっては、相続税が課税され、贈与税が課税されることもあれば、所得税が課税されることもあるということになります。
上記のように課税関係が複雑となりますが、相続税が課税される場合には非課税の制度もあるため、どの税金で課税されるのが最も有利なのかを検討しなくてはなりません。
死亡保険金は原則として相続財産ではありませんが、相続税の計算時には相続財産に含められ相続税が課税されます。ただし、死亡保険金を受け取ったのが相続人である場合は、次の算式により計算した金額には相続税は課税されません。
- 死亡保険金の非課税=500万円×法定相続人の数
※法定相続人の数は、相続の放棄がなかったものとした場合の相続人を数えます。また、法定相続人に養子がいる場合には、法定相続人として数える養子は、実子がいない場合は2人まで、実子がいる場合には1人までに制限されています。
- 死亡保険金は相続人が現金で受け取る為、相続税を払う際の現金を確保することができます。
- 死亡保険金には非課税枠があるので、相続税の節税効果もあります。
- 生命保険を上手く活用することで、相続税対策にも効果があります。
相続税対策に効果的な生命保険を選び加入する
生命保険には大きく分けて3つの種類があります、それぞれの特性を知ることも重要です。
終身保険
一生涯保障されるため満期がなく、解約をすればお金が戻ってくる「貯金タイプ」
養老保険
保障される期間は10年など限定されますが、満期がくればお金が戻ってくる「貯金タイプ」
定期保険
保障される期間は10年など限定されており、満期になってもお金は戻らない「掛け捨てタイプ」
(保険料が掛け捨てゆえに、高額な死亡保障が得られます)
死亡保険金には相続税の非課税(500万円×法定相続人の数)がありますので、これを有効に使うのであれば「終身保険」に加入することが安心でしょう。人はいつ亡くなるか分かりません。ですので、満期がない終身保険に加入していれば確実に保険金を受け取ることができます。
養老保険や定期保険には満期があり、加入に年齢が制限されていることがあります。また、健康状態により更新時に生命保険に加入できない可能性もあります。保険契約を更新するにしても更新の都度保険料が上がっていくため保険料を払えず、保険金額を減額していくことになる可能性が高くなるため、将来的にどのくらい保険金を受け取ることができるのかも不確実となります。
※各生命保険の特性を踏まえ、どの生命保険を利用すれば相続税対策に効果的なのかを検討する事は非常に重要となります。
相続税対策に効果が出るよう保険金の受取人を考える
死亡保険金の相続税の非課税は、相続人が受け取った保険金について適用することができます。そのため、保険金受取人を相続人のうちの誰にすれば最も有利な相続税対策になるのかを検討する事が必要が重要です。
例えば、配偶者が保険金受取人の場合は、検討が必要となります。
※配偶者には「配偶者の税額軽減」という制度がある(基本的には配偶者に相続税はかかりません)
配偶者の相続税の負担を軽くする制度、以下の金額までは相続税はかかりません。
- 相続した財産のうち、法定相続分迄
- 取得した財産が1億6000万円迄
※上記を鑑みると、もともと相続税がかからない配偶者を受取人にするよりも、相続税が課税される子供を保険金受取人としておいたほうが保険金の非課税を有効に使うことができるのです。
例)子供2人の場合=生命保険の非課税枠が1000万円
※預貯金としての現金1000万円があった場合、現金を生命保険という形に置き換えるだけで、1000万円に対して相続税がかからなくなります。
生命保険金の非課税枠は、可能であれば父・母の両方の相続のときに利用することが有利となってきます。父・母の両方の相続に備え、以下のように父・母を被保険者とする終身保険に加入すると良いと思われます。
- 契約者を父、被保険者を母、保険料は父が支払う。
- 父の相続時には上記生命保険契約が相続財産となり、母がこの契約を相続する。
- 母が契約した生命保険について、母が保険料を払う。
上記を行った場合、父・母両方の相続時において、生命保険金の非課税を使うことが可能です。ただし、生命保険は当然のことながら健康時にしか加入できませんので、早めに対策を検討することが最も重要です。
保険も当事務所ならワンストップで対応
これまで、贈与と保険の活用についてお話してきましたが、実際に、どこかに相談するにしても、贈与なら税理士。保険なら保険代理店と、それぞれの窓口を持たなければいけませんでした。でも、ご安心ください。
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当事務所においては、各専門家との提携により、相続全般はもちろんリーガル的ご相談、本ページにおける贈与・保険契約に関しても、問題なくご対応ができますので、是非ご相談ください。