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【千葉市・家族信託・Uさん】長男に会社の株を渡したい(家族信託で事業承継)

千葉市にお住まいのUさんより相続対策のご相談です。

Uさんは今年で73歳となり、いよいよ引退を考えています。Uさんは事業をご自身で起こされ長年経営をされてきました。現在、息子である長男さんが専務として会社に勤められています。後は長男さんに会社を引き継ぎたいと思っていますが、会社の株や相続税対策も含めて何か良い方法がないかとのご相談で当事務所に来所されました。

≪従前の承継方法≫

戦前の話になりますが、会社の株を後継者に渡すことは非常に簡単でした。「家督を長男に渡すので、みんなよろしく」と言いご自身(先代)は隠居、後継者(長男)が株を持つことで実権を握りました。贈与税・相続税も殆どかかりませんでした。

現在では株を後継者に渡す方法としては「生前贈与」「売買」「遺言」の3つがあります。ですが、こ3つの方法も前述の隠居・家督相続に比べると、財産を渡す方法としてはかんり不便な部分があります。

「生前贈与」

株を贈与で一度にしてしまうと、多額な贈与税がかかります。また、少しずつの贈与を行った場合は長い年月がかかり、万が一贈与者(先代)に何かあればその後贈与が出来なくなってしまいます。さらに、後継者が思いのほか後継者として不適格であった場合に株を返してもらうことは困難になります。

「売買」

売買においては、後継者側に買取資金が必要になってしまいます。普通は金融機関等から融資を利用しますが、これには多額な利息負担が生じることになります。また、先代には多額な譲渡取得税が課税される場合もあります。

「遺言」

遺言の場合は、先代が亡くなってから初めて株が渡るので、その後、後継者が適任であったかもわからない、先代からの助言ももらうこともできません。また、遺言はあるものの、先代が株をもったまま認知症や・その他の病気等で意思判断能力がなくなってしまった場合は、会社経営(役員選任・重大決定等)に支障が出てしまいます。

※比較をすると一目瞭然ですが、戦前の隠居・家督相続と比べた場合、現在の法律では株の譲渡には様々な問題となる点が多くあります。

≪家族信託(民事信託)を使えば解決!≫

まだ、あまり認知はされていませんが実は上記を解決する上で新しい法律がございます。(最近ようやく、TVや雑誌でも取り上げられています)

それが、家族信託(民事信託)という制度です。ある意味で隠居と家督相続に近いものです。

「相続発生前」

委託者 :父(先代)
受託者 :長男(専務)
受益者 :父(先代)
信託財産:会社の株
指図権 :父(先代)

まず、父(先代)と長男(専務)との間で信託契約を締結します。会社の株を長男(専務)に信託します、この契約によって長男(専務)は後継者として会社の実権を握ることになります。一方で、父(先代)に指図権を残すことで後継者(長男)の会社経営に指図することができます。厳密なことでいうと、完全な長男(専務)の会社実権ではありません。ですが、このような仕組みにしたことで、後継者の適正判断期間があり、また後継者への助言をすることができるのです。
父(先代)は受益者となり、株の配当は父(先代)へ残ります。ですので、長男(専務)は株を持って会社の実権を持っていますが、贈与税がかかることはありません。

※これまでは、会社の実権を渡すには、株を贈与や売買、相続まで待つしか方法はありませんでした。ですが家族信託(民事信託)を利用すれば、信託契約書だけで贈与税もかからずに会社の実権を渡すことが可能になります。

父(先代)が元気なうちに、長男(専務)に会社の実権を渡すことができるので、万が一父(先代)が認知症になって意思判断能力が無くなったとしても、すでに長男(専務)に会社の実権は移っていますので問題は生じません。

また、受益権を少しずつ贈与していけば、

また、受益権を少しずつ贈与するなど、相続税対策も可能です。

「相続発生後」

父(先代)が亡くなった場合、受益権(株式配当を貰う権利等)も後継者(長男)に移ります。もちろん、受益権を配偶者や別の者に設定する事も可能です。

この時は、相続税が発生致します。家族信託を設定した時は贈与税はかかりませんが、相続の場合は相続税がかかることになります。

※家族信託(民事信託)は、遺言と同じことが出来ます。さらには、配偶者が亡くなったらその子供、子供が亡くなったら孫へと、何代にも渡り受け継ぐ者を指定することが可能です。これは、遺言では出来ません。

最終的には、受益権が後継者に渡れば、会社の株の譲渡が完全に完了します。この時点で家族信託(民事信託)の契約が終了します。晴れて、後継者(長男)は新オーナーとして会社運営をしていきます。

≪万が一、後継者が不適格だった場合≫

万が一、後継者(長男)が経営者として不適格だった場合は家族信託(民事信託)なら対処が可能です。

家族信託(民事信託)は、父(先代)の1人での判断で信託契約の解約が出来ます。一旦、長男(後継者)に渡った株・会社の実権を戻すことができます。このときも贈与税の課税はありません。

このように、かなり自由度の効く家族信託(民事信託)は使い勝手の良い制度となっています。万が一、長男(後継者)が病気や事故等で後継者として成り行かなくなった場合でも対処が可能です。

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