【船橋市・相続手続き・Nさん】遺産分割のやり直し
船橋市にお住まいのNさんより、遺産分割についてのご相談です。
Nさんのお父様がお亡くなりになり、遺産分割協議も終わりお父様名義であった土地の登記手続きも終わった段階で、Aという人物よりNさんが相続し登記した土地は、亡きお父様より生前に贈与を受けたと主張し、移転登記と土地明け渡しの裁判を起こされたそうです、結果的にNさんは敗訴となりAという人物ものとなったそうです。ここでNさんは、亡きお父様からの遺産相続は何も無い状態です、Nさんから見て他の相続人に対して遺産分割のやり直しができるのかとのご相談内容です。
■今回のご相談の土地が遺産の大部分を占める場合には、遺産分割は無効となり、Nさんは他の相続人に対して遺産分割のやり直しを請求することが出来ます。
しかし、その土地が遺産のうちでそれほど大きな部分を占めない場合は、遺産分割自体は有効と考えられますから、Nさんは取得した遺産に瑕疵があるとして、他の相続人に対し担保責任による損害賠償や代金の減額請求をすることになります。
■遺産分割の協議をするとき、遺産が不動産の場合、登記簿上の所有者名義に従って遺産を確定し、その上で話し合いをすることになりますが、この登記上の名義は絶対的なものではありません。今回のご相談の場合のように、亡くなったお父様がAに真実この土地を贈与したことが裁判で立証されれば、Nさんはお父様の地位を承継しますので、Aが敗訴し、NさんはAに所有権移転登記をしなければならなくなります。
このように、遺産分割により取得した遺産が後日他人のものとされた場合、遺産分割自体が無効となり、遺産分割のやり直しを請求できるのかという点がこの場合問題になります。この点に関する考え方は次の3つに分かれます。
①このような遺産分割は当然無効になる
②このような遺産分割も当然には無効とはならない
③このような遺産分割も当然には無効とはならないが、後に取り戻された財産が遺産の大部分を占めるような場合は無効となり、そうでない場合は有効となる
実務上は、相続人間の公平性と遺産分割協議の協議がいったん成立した法的安定性の両面を考慮した③の見解が有力であると言えます。この見解によると、Nさんがいったん取得し、後日Aににより取り戻された土地が亡きお父様の遺産のうちでどのような割合を占めるかが問題となります。もし、その土地が遺産の大部分を占めるときは、遺産分割の協議は無効となり、他の相続人に対し遺産分割のやり直しを請求できることになります。その土地が遺産のうちでそれほど大きな部分を占めない場合は、遺産分割自体は有効で、他の相続人に対し損害賠償や代金減額の担保責任を問うことができるだけと考えられます。