【船橋市・相続手続き・Hさん】遺産分割するまでの遺産の管理は具体的にどうすれば良いのか?
船橋市にお住まいのHさんよりご相談です。
Hさんのお父様が亡くなり、遺産の中で収益不動産(土地・建物)があり遺産分割ができるまでの間、長男であるHさんが管理するように言われていたそうです。Hさんはどのように管理して、本来は誰がそれをすれば良いのか、また修繕費用や火災保険料等の費用は誰が負担すればいいのですかとのご相談です。
遺産分割するまでの遺産の管理は、相続人が共同ですることもできますし、相続人間の話し合いで相続人の内の誰かを、あるいは相続人以外の第三者を管理人として選任し管理させることもできます。また、家庭裁判所に管理人の選任を請求する事もできます。
次に遺産の管理を任された人が支出した費用は、相続財産に関する費用として相続財産から支出されることになり、相続財産に現金等があればこれから支出、ない場合には各相続人が相続分に応じて負担する事になります。
「相続人が共同で管理する場合」
分割前の遺産を相続人が共同で管理する場合は、民法の共有の規定により各相続人は相続分の割合に応じて管理する権限を持つことになります。したがって、遺産の保存行為は相続人が単独で行う事ができ、その他の管理行為は、各相続人の持ち分に従いその過半数で決めることになります。今回のご相談の場合は、固定資産税や火災保険料の支払い、建物の修繕は保存行為と考えられますので、各相続人が単独で行う事ができます。
「管理人を選任する場合」
また、今回のご相談の場合のように共同相続人全員の合意により相続人の内の誰かを管理人に選任したり、相続人以外の第三者を選任して管理させることもできます。この場合は、管理人は委任契約の受任者としての権利義務を有する事になり、善良な管理者としての注意義務を要求され、報告義務や受取物等の引渡義務などを負う事になり、一方委任事務の処理に際して必要とする費用の請求権を有する事になります。
「管理費用の負担」
次に遺産の管理費用の負担ですが、民法は「相続財産に関する費用は、その財産の中から、これを支弁する」と定めています。遺産の管理費用もこの相続財産に関する費用にあたり、相続財産によって清算されることになります。
その清算をどのようにするかについては、遺産分割の手続きにおいて行い、積極的財産から管理費用を差し引いて分割を行えるのか、それとも分割手続きとは個別に清算すべきなのか見解が分かれていますが、実務上は前者の見解に従い遺産分割の際に清算されることが多いようです。ただ、分割を待たずに早期に清算したい場合は、相続人全員の同意があれば、遺産分割前に清算し、遺産のうちの現金や預金等から支出し、あるいは遺産から生じる家賃等の収益から支出するか、相続人間で負担割合を定めて支出するかを決めることもできます。