【鎌ケ谷市・家族信託・Yさん」めいに生前贈与をしたい
鎌ケ谷市にお住まいのYさんよりご相談です。
Yさんは70代の男性の方です。Yさんはご両親(既に死亡)から相続した土地をお持ちでした。その土地には姪御さんの名義の家が建っていて、姪御さん家族が住んでいます。姪御さんの子供の将来の事を考えると、自宅を担保に使ったローン等も考えられるので、姪御さんに自分の名義になっている土地を生前贈与したいと考えています。敷地の評価額はおおよそ1,000万ですが、単純に贈与税が姪に200万以上が掛かりそうとの事で、何か良いアイデアはないかとのご相談です。
「これまでの方法」
不動産や多額の金銭の場合の生前贈与においては、贈与税が問題になることが多いです。対策を講じずに、単純に贈与をしてしまうと、今回のご相談の場合のように1,000万の評価額の土地を贈与すると、親子(子が一定の年齢以上)の場合で177万円、兄弟間や子供が未成年の場合、他人への贈与などは231万円もの贈与税が掛かることになります。
贈与税は、前もって将来の事と計画性をもたないと大変な事になってしまいます。ですが、贈与税は夫婦間・親子間において一定の条件を満たした場合は、贈与税が実質には掛からなかったり、相続までの猶予期間の特例があったりと、最終的には相続税の対策になったりもします。
今回のご相談の場合は姪御さんへの、贈与となりますので贈与税がかからない(猶予される)特例を使うことができません。このままでは、姪御さんのためを思って敷地を贈与した場合、姪御さんに231万円の贈与税が掛かってしまいます。
これまでの方法として、この多額の贈与税を回避する為には、贈与税の非課税枠の110万円に収まるように、毎年110万円ずつ贈与していくことしかできませんでした。
今回のご相談の場合をあてはめると、敷地の評価が1,000万円ですので、おおよそ毎年1/9ずつ贈与していくことになります。ですが、完全に敷地を贈与するまでに9年間も掛かってしまう事になります。万が一その間にYさんがお亡くなりになったり、認知症を発症してしまこともあります、こういった場合はもう贈与することができません。
「家族信託を使えば解決できる」
では、上記の事を考えどうすれば贈与税の心配をしないで確実に姪御さんに敷地を贈与することが出来るのでしょうか?
※家族信託を使う事で、贈与税の心配をすることなく、実質的な生前贈与が可能となります※
まずはYさんから姪御さんに、姪御さんの自宅の敷地を信託契約をします。これで一括で敷地の名義が姪御さんに移り、贈与税がかかる事もありません。姪御さんに信託すると、姪御さんの自宅の敷地に担保をつけたりする手続きは姪がすることになります。ですので、Yさんが、認知症になった場合でもローン等を組むことが出来ます。一方で、敷地についての「利益を得る権利」(受益権)はYさんに残します。この場合の「利益を得る権利」とは、例えば敷地を売ったとき誰がそのお金をもらえるかということです。この利益を得る権利をYさんに残したままにすると、贈与税がかかることはありません。さらに、Yさんが亡くなった場合は、この受益権を姪御さんに移るようにしておきます。Yさんが亡くなると、自宅の敷地は完全に姪御さんに移ります。こうした信託契約を結んでおくことで遺言がなくても、名義が完全に移ります。
「相続税について」
不動産の名義を変更(移転登記)をすると、不動産取得税という税金がかかります、今回のご相談の場合ですと1,000万円の評価の土地ならおおよそ30万円くらいになります。案外、この不動産取得税は高いものとなります。自宅を購入した場合には、優遇される制度もありますが、不動産取得税はかかります。ですが、信託を設定した場合には不動産取得税はかかりません。(個人的な意見ですが、国も信託制度を広めていきたいのだと思います)とは言っても、Yさんが亡くなった時は不動産取得税がかかります。
では、固定資産税はどうでしょうか?固定資産税は、その土地の名義人に課税されます。今回のご相談の場合ですと、信託を行ったとすると、その翌年から姪御さんに固定資産税の納税通知が届きます。
家族信託をする場合、固定資産税は元々の所有者(今回の場合ではYさん)が支払うようにすることが多いです。ですので、Yさんと姪御さんとの間で話し合いをもち、将来的に考えられる不測の事態も含めて、しっかり話し合っておくことが重要です。