【我孫子市・家族信託・Eさん】空き家になっても自宅が売れない?
我孫子市のE(長男)さんよりご相談です。
E(長男)さんには、認知症で既に介護施設に入居されているお母様と実家(自宅)に一人で住んでいるお父様がいらっしゃいます。妹さんは結婚して他の町に住んでいます。Eさんはご両親と同じ市内に住んでいます。今回、お父様が施設に入る事になり、実家(自宅)には、誰も住んでいな状況になっています。(お父様も認知症を発症しているそうです)お父様が元気な時(介護施設に入所する前)に「施設に入ったら自宅は売却して良い」と聞かされており、空き家となった自宅をそのままにしていても仕方なく、税金や管理の問題もありますし、また、後に活用する予定もない為、実家を売却したいと思っています。父親名義の実家(自宅)は売却することができますか?
「家は売れるか?」
今回のご相談でのポイントは、お父様が認知症になってしまっているという点です。お父様が元気な時(認知症発症前)に、実家を売っても良いと言われているとの事でしたが、現時点でお父様は介護施設に入居され、かつ、認知症を発症しているとの事ですので、お父様名義のご実家は
残念ながら売ることができません!
ご実家を売却するときに最終的に判子を押す人は名義人であるお父様になります、しかし、認知症を発症していますので捺印は無効となります。
仮に、成年後見人をつけたとしても、ご実家の処分は家庭裁判所の許可が必要です。しかし、売却してお父様のためにお金を用意しなければいけないなどの事情がない限り許可は出ません。結果として家が売れないことになります。(成年後見人がいたとしても、かなりハードルの高い事案になります)
当事務所でも数名の方の成年後見人をしていますが、ご本人は既に介護施設に入っていて、自宅が空き家になっているケースがあります。もう、ご自宅に戻る事はないと思いますが、ご自宅を売却することができません。管理の為の草刈等を頼み、固定資産税も払っています。全く無駄なお金を使っている状況の方が数名いらっしゃいます。既存の法律では、実はどうすることもできなかったのが実情です。
「家族信託なら解決できる」
実家の名義人であるお父様が家族信託を契約しておけば、問題なく自宅を売ることができます。
お父様が元気(認知症を発症する前)な時に、お父様からE(長男)(長女でもOK)さんに信託しておきます。そうしますと、お父様もお母様も施設に入り、自宅が空き家になったら売却ができます。売却の手続きはE(長男)さんが行います。
自宅を売却した金銭は、E(長男)さんが受け取りますが、お父様のために使えます。また、信託契約の内容如何では、お母様のためにも使っても良いとか、子供や孫のために使っても良いと決めておけば、そのようにすることが可能です。
成年後見制度では、自宅を売却する事や、金銭をご家族の為に使う事ができませんでした。しかし、家族信託を活用すれば、ある意味で制限なく利用することが可能です。
ですので、お父様の判断力がなくなる前(認知症を発症する前)に、家族信託を契約していれば、ご自身の意思を他の誰かに引き継ぐことができ、ご自身以外の家族うあ関係者が困らなくなる事ができます。
今回のご相談においては、解決する術がなかったのですが、元気なうちにご家族で一度、将来のことを考えておくことが一番重要です。もし今回のご相談のEさんの場合も、お父様が認知症になる前であれば、家族信託を利用して自宅の売却も出来たお話だったと思われます。
今回のご相談もしかりですが、近年では認知症の対策として非常に着目されています。