【千葉市中央区・相続手続き・Yさん】死後認知された子は相続についてどう扱われるか?
千葉市にお住まいのYさんよりご相談です。
Yさんのお母様は若い時にお父様と同棲をしており、その時にYさんが生まれたそうです。しかし、Yさんの出生後、お母様とお父様は結婚せずに別れてしまい、お母様が女手一人で育ててくれたそうです。そのお父様が先日亡くなった事を人づてに知ったそうです。Yさんはお父様より正式に認知はされていません、この場合はYさんはお父様の遺産に対して何らかの権威を主張していくことができるのかというご相談です。
「認知とは」
婚姻関係にない男女の間で子供が生まれた場合、その子の父親との父子関係はそのままでは単なる事実上のものにすぎず、その子の父親の財産に対して相続権を有しません。この子が父親の財産を相続するには事実上の関係を法律上の父子関係に高める必要があり、そのためには父親から認知を受けなければなりません。
この認知には、父親の意思によって行われる「任意認知」と、裁判手続きによる「強制認知」があります。任意認知の場合は、父親がその意思により市町村役場に届け出ることによって認められ、遺言によって行うこともできます。一方で強制認知の場合は、通常は子供またはその直系卑属(あるいは法定代理人)が父親を被告しとて認知の訴えを提起することになります。しかし、父親の死後はこれを被告とすることはできませんので、死後3年以内であれば検察官を被告として認知の訴えを提起する事ができ、勝訴判決が確定すると父子関係が法律上確定します。これを「死後認知」といいます。なお、認知の効力は子供の出生時に遡って生じますので、死後認知でも父親が亡くなった時から認知された子は相続人であることになります。したがって、今回のご相談の場合もお父様が亡くなられてから3年以内であれば、検察官を被告に認知の訴えを提起できますのでそうすべきでしょう。これが認められると、Yさんはお父様の財産について相続権を有することになります。
「遺産の受け取り方」
1 遺産分割が終了していない場合
死後認知がなされた段階でまだ遺産分割が終わっていないのであれば、認知された子も含めて遺産分割協議を進めていけばよいことになります。
2 遺産分割が終了している場合
一方で死後認知がなされた段階で遺産分割協議が成立してしまっている場合、その協議は結果的に本来相続人であるはずの者を除外してなされたことになり、共同相続人全員の合意なく成立したことになります。かといってこれを無効にしてしまうと、すでに行われた遺産分割を前提に生じるさまざまな法律関係にまで影響を与え、著しい混乱を生じる恐れがあります。そのため、民法は死後認知を受けた子の利益(被認知者の利益)と遺産分割をめぐる法律関係の安定という2つの要請の調和をはかる観点から、遺産分割の効力は認めつつ、死後認知を受けた子から他の共同相続人に対して、その相続分に応じた価額の支払請求を認めています。したがって、他の共同相続人が死後認知を受けた子に対して支払うべき額は、死後認知を受けた子の相続分を他の共同相続人が遺産分割によって各々取得した財産の評価割合に応じて按分した額ということになるでしょう。
なお、この価額の算定に当たっては、価額請求時の時価を基準に算定するという考えが有力です。今回のご相談の場合、誰にどれだけ請求すべきかは下記を参照ください。この場合、Yさんは婚姻関係のない男女の間で生まれた子となりますから非摘出子ということになり、相続分は他の兄弟の1/2になることに注意してください。
<死後認知>
父:死亡
母:5/10(法定相続分)※お父様の法律上の配偶者
子:2/10(法定相続分)
子:2/10(法定相続分)
Yさん:1/10(法定相続分)
<遺産分割協議成立後>
Yさん→母※お父様の法律上の配偶者
→長男
→次女
それぞれの取得財産分に対する評価割合に従い価額の支払請求