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【千葉市稲毛区・生前贈与・Iさん】放蕩息子には財産を相続させたくない!

千葉市にお住まいのIさんよりご相談です。

Iさんは飲食店を2店舗経営されています。Iさん自身が高齢になってきたため将来的な相続を真剣に考え始めました。飲食店では長男さんが良く店を手伝ってくれていることもあり、将来は長男に相続(継がせたいと)と思っています。ですが、次男さんが将来、店舗の1つを任せてくれ、俺が後を継ぐと言い張ってきています。実は次男さんは素行が悪く、働かずに店のお金をたびたび持ち出しており、遊び仲間と遊び歩いている生活を繰り返しています。Iさんは、実の息子さんですが心情的に絶対次男には財産を相続させたくないと思っています。こういう場合の手立てはあるのかというご相談です。

「相続人の廃除」

被相続人が相続人のうちの特定の者について財産を残したくないと考える場合、自分の財産すべてを他の相続人に譲るという遺言をすることが考えられます。しかし、今回のご相談の場合のようにその相続人が被相続人の子供である場合、遺留分を有していますので、仮にご長男に全財産を残すという遺言をしても、次男の方がある程度の財産を相続する事は避けられないことになります。また、ご長男にIさんの全財産を生前贈与するという方法も考えられます。しかし、この方法をとりますと多額の贈与税を支払わなければならなくなりますし、贈与後1年以内にIさんが亡くなった場合には、やはり遺留分の問題を生じます。
そこで、今回のご相談の場合に、Iさんが財産を次男さんに一切譲らないという考えを貫かれるのであれば、遺留分が発生しないようにしなければならず、そのためには次男さんに対し「相続人の廃除」の手続きを取る必要があります。

「相続人の廃除」とは、相続人のうち兄弟姉妹(及びその子)を除く者(つまり遺留分を有する相続人)が、欠格事由とまではいかないものの被相続人を虐待し、重大な侮辱を加え、その他の著しい非行行為を行った場合に、被相続人の請求により家庭裁判所がその相続人の相続権を剥奪する制度です。このような場合、被相続人の感情からして一切財産を残したくないと思うのは自然のことであり、また、このような相続人を保護する必要もありませんので遺留分をも認めないこととしたものです。反面、相続権を剥奪される者にとっては大変重大な問題ですので、相続人の行為が廃除事由に当たるか否かは、客観的にみてその程度が著しいものでなければならず、その有無は家庭裁判所が申立人及び相手方の双方の主張を公平に聞いて判断する事になります。

「相続人廃除の手続き」

ある相続人に廃除原因に該当する事実が存在しても、ただそれだけでは廃除の効果は生じません。前に述べたとおり、被相続人が廃除原因があると考えて家庭裁判所の相続人の廃除を求める調停または審判を申し立て、家庭裁判所で調停が成立するか廃除を認める審判が確定してはじめて効力が生じます。また、被相続人が遺言で相続人廃除の意思表示をすることもでき、この場合は被相続人の死亡後遺言執行者が家庭裁判所に廃除請求することになります。

今回のご相談の場合は、Iさんが家庭裁判所に相続人廃除の申立てをして、次男さんの普段からの素行の悪さの程度及びその具体的状況、勝手に持ち出した金額・使途等を家庭裁判所が慎重に判断し、著しい非行に該当すると認められれば、次男さんは相続権を一切奪われることになります。なお、廃除の審判が確定した場合、請求した者は確定の日から10日以内にその旨を役所に届け出なければなりません。

「相続人の廃除の効果」

相続人廃除の審判があると、廃除された相続人は被相続人の相続人の地位を失います。この効果は、審判確定が相続開始前であればただちに生じ、遺言による場合は被相続人死亡時に遡って生じます。一方で他の相続関係には影響を与えません。つまり、Iさんの奥さんが亡くなられた場合の相続に関しては、次男さんはIさんの奥さんから廃除されていなければ相続人となれますし、また、相続以外の扶養・親権・後見といった身分上の関係について何らの影響もありません。なお、被相続人は、いつでもまた遺言でも廃除の取消しを家庭裁判所に請求できます。したがって、次男さんの素行が改まるなどの事情によりIさんの気持ちが和らいだときには、廃除の取消しを請求すればよいでしょう。

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