【千葉市稲毛区・相続手続き・Fさん】遺産分割協議が終わった後に新たな遺産が出てきた場合はどうすれば良いか?
千葉市にお住まいのFさんよりご相談です。
遺産分割協議を終え、ほっととしたところに私たち相続人の知らなかった新たな遺産が出てきました。このような場合はどう対処すれば良いかとのご相談内容です。
「一部分割の有効性」
遺産分割協議をする際には、被相続人の財産全てを一括して共同相続人に分割すること、つまり全部分割が原則となります。したがって、協議をする前に遺産内容の調査を十分に行う事が大切です。しかし、遺産内容の調査を十分に行ったつもりでも、一部の遺産を協議の対象としなかったり、遺産分割協議の成立後に知らなかった遺産が出てくることがあるのは、ある程度やむを得ないことです。このような場合の全てについて、既に行われた協議を無効として、協議の対象から外してしまっていた遺産や新たに発見された遺産を含めて遺産全体について協議をやり直せというのは、相続人に無駄な労力を強いることになります。したがって後に述べるような例外的な場合を除いては、既になされた遺産分割協議は有効であり、この意味で遺産の一部のみの分割、つまり一部分割も遺産分割の方法として認められています。
ですので、今回のご相談の場合もすでに成立している遺産分割協議は有効となりますので、新たに発見された遺産のみについて改めて相続人間で分割協議をして分割すればよいと言えます。このときの手続きとしては、相続人の間でもともと未発見の財産があることを予測し、分割割合を明示ないし黙示に合意しているような場合は共有分物分割の手続きをとることになるかもしれませんが、それ以外の場合は一般的には通常通り遺産分割の手続きを取って構いません。なお、既に成立している遺産分割協議の内容に不満があっても、遺産の一部が脱落していたことや新たに遺産が発見されたことを幸いとして分割のやり直しを主張する事は一般的にはできないでしょう。
「例外的場合」
ただし、協議の中で脱落していた遺産や新たに発見された遺産が一部の相続人によって故意に隠匿されたものであったり、遺産全体の中で大きな割合を占める財産価値を有している場合には、仮に相続人においてその遺産の存在をしっていたとするならば、既に成立している遺産分割のような分割には到底同意などしなかったと考えられる場合があります。したがって、この場合には遺産分割をする上で重要な部分に錯誤があったことになりますから、相続人としては、従前の遺産分割協議の無効を主張できるでしょう。この場合には新たに発見された遺産や脱落していた遺産を含めて、遺産全体について改めて相続人間で公平になるように遺産分割協議をやり直すことになります。
≪遺産の一部のみの分割協議の有効性≫
・原則→有効
・例外→相続人によって遺産の一部が故意に隠匿された場合⇒無効
脱落した遺産が全体の中で大きな割合を占める場合⇒無効
