【市原市・相続手続き・Yさん】父に建ててもらった家をもらった兄と何も貰っていない弟ぼ相続事例
市原市に住むYさん(次男)さんより、お父様が亡くなり遺産相続(遺産分割)についてのご相談です。
お話を伺うと以下のような事でした。
・相続人:長男・次男(Yさん)
・長男は父の生前に家を建ててもらっている(独立時)
・次男(Yさん)は何もしてもらっていない
※Yさん(次男)は、生前父より建ててもらった兄の自宅を、父の遺産として見るのか分からずご相談にいらしたのが経緯となります。
Yさん(次男)の立場になってみますと、お兄様だけが父よりの財産をもらっていて、自分は何も貰っていない。また、父が亡くなり遺産相続が発生して、兄が父よりもらった家(自宅)があるので、自分のほうが沢山遺産相続できると思っていました。ただ、兄が父からもらった自宅をどういう扱いにすれば良いか分からなかったとの事でした。
『特別受益』
今回の事例では、お父様に建ててもらった長男さんの自宅がポイントです。この自宅(遺産)を法廷相続分に従って分配すると、長男さんだけが得をして非常に不公平な遺産分割になる可能性があります。
(法律上、子供であれば親の財産を平等に相続すると規定されています)
ですので、法律上は共同相続人となる者の中に、被相続人から遺贈を受けていたり、一定の贈与を受けていた者がいる場合は、相続分の前渡しをしたとみなされ、その者の相続分を減らすことになっています。
この遺贈を受けた者、又は生前贈与を受けた者を一般に『特別受益者』と言います。
ただし、被相続人が生前贈与や遺贈をする際に相続とは関係ない旨の意思表示(持戻免除の意思表示ということもあります)をしている場合には、生前贈与や遺贈が相続分の前渡しとして行われたとは言えないので、被相続人の意思を尊重し他の相続人の遺留分をを侵害しない限り、特別受益者の相続分は減らさないこととされています。
尚、この被相続人の意思表示は遺贈については遺言で行う必要がありますが、生前贈与については特別方式は決まっていません。もっとも書面を残しておかないと後日生前贈与を受けた相続人がこれを証明するのが困難となりますので、書面に残しておくことを薦めます。
『特別受益の内容』
遺贈については、被相続人が反対の意思表示をしない限り、原則として特別受益にあたります。一方、生前贈与については、被相続人から婚姻・養子縁組、もしくは生計の資本贈与を受けたような場合に限られ、単に小遣いや扶養料を貰うとか誕生日に着物を買ってもらう程度ではこれに含まれません。
具体的には、婚姻や養子縁組の為の贈与としては持参金や嫁入道具等が特別受益に含まれますが、挙式費用や宴会費用は親のためという側面もありますので、必ずしも含まれるとは限らずケースバイケースになります。
また、生計の資本としての贈与は、親と世帯を別にして独立する際に土地を貰ったり、家を建ててもらったり、事業資金をだしてもらったりすることが特別受益に含まれます。また、他の兄弟姉妹と比較して格別に高等教育を受けさせてもらったり、留学させてもらった場合は、これも含まれる場合もあります。
尚、特別受益に該当する生前贈与は、遺留分の場合と異なり、被相続人の死亡1年以内のものという制限はなく、いつ行われたものでも構いません。
今回のご相談に、以上の事をあてはめますと、長男さんは独立の際に家を建ててもらっているので、お父様が特に「これは相続とは関係ない旨」の意思表示をしていなければ、当然『特別受益』にあたります。ですので、長男さんはその相続分を減らされることとなります。