【船橋市・相続手続き・Iさん】遺産分割協議後に発覚した他人の所有であった土地(担保責任)
船橋市にお住まいのIさんより遺産分割のご相談です。
Iさんのお父様が亡くなり(お母様は既に他界)、Iさんを含めて4兄弟で遺産分割協議を行い、それぞれ遺産を分配したそうです。Iさんは土地の70坪を取得したそうなのですが、隣人より土地について裁判を起こされ、10坪は隣人の所有であることが確定したそうです。Iさんは、他の相続人(あとの3兄弟)に対して、何か請求することはできますかとのご相談です。
結論から言いますと、Iさんは他のご兄弟に対して損害賠償を請求することができます。
「担保責任」
遺産分割により取得した土地につき後日坪数が不足していることがわかるなど遺産に瑕疵があった場合、その遺産の瑕疵が遺産全体に占める割合が極めて大きいときは、遺産分割の無効や遺産分割のやり直しができることになります。もし、遺産の瑕疵がそれほど大きなものでないときは、各共同相続人の担保責任を負わせて公平に図る事になります。つまり、各共同相続人は他の共同相続人に対し売主と同じようにその相続分に応じた担保責任を負う事になります。
「担保責任の内容」
この遺産分割による担保責任は、取得した遺産について、他人の物であった場合、一部が他人に属する場合、数量不足や一部滅失がある場合、賃借権などの用益権の制限がある場合、抵当権等の担保権の制限がある場合、隠れた瑕疵がある場合、債券の債務者が無資力の場合、これらの遺産を取得した共同相続人は他の共同相続人に対し損害賠償や代金減額の請求ができるというものです。
この責任は、各共同相続人に「その相続分に応じて」担保責任を負わせるものですから、遺産分割による具体的相続分が責任の基準となります。今回のご相談の場合、不足した10坪の土地の分割時の時価1,000万円で、4人の共同相続人が均等の割合で遺産を取得したと仮定すると、この1,000万円をIさんも含めた4人で均等に負担する事になり、Iさんは他の共同相続人に対して1人当たり250万円の損害賠償を請求できることになります。各共同相続人の取得割合が均等でない場合は、各共同相続人の具体的相続分に応じた按分額を請求することになります。
なお、この遺産分割の瑕疵を知った時から1年以内に損害賠償等の請求をする必要があります。