【船橋市・相続手続き・Yさん】遺産分割の分割禁止の「特別事由」とは?
船橋市にお住まいのYさんよりご相談です。
遺産分割を禁止する「特別の事由」があれば、遺産分割を禁止することができると聞いたのですが、どのような場合ですか?また遺産の一部だけを分割禁止にすることはできますか?とのご相談です。
分割協議が難航し円満な解決が難しい場合、遺産の分割の禁止には、に下記の場合で分けられます。
・遺言による場合
・協議による場合
・調停による場合
・審判による場合
民法では、遺産分割において「特別の事由」があるときは、家庭裁判所は期間を定めて遺産の全部または一部について分割を禁止することができると定めており、家庭裁判所の審判で遺産分割を禁止する時は、この「特別の事由」が必要となります。遺言や分割協議、調停で遺産分割を禁止するときは「特別の事由」は必要ありません。
「前提問題に争いがある場合」
家庭裁判所の審判で「特別事由」が認められるケースとして多いのは、相続財産の範囲や相続人の範囲が定まらないなど遺産分割の前提問題について争いがあって、分割に障害がある場合です。例えば、「ある財産が被相続人の遺産に含まれるかどうか争われた場合」「相続人の一人に被相続人との間の親子関係不存在確認訴訟が提起された場合」「死後認知訴訟が提起された場合」「相続人の範囲が争われている場合」が多いです。
このような遺産分割の前提問題に争いがあるときは、最終的には民事訴訟でその点が判断されることになりますが、その訴訟が確定するまでは遺産分割手続の進行をストップしておくのが適切です。またその解決に長期間を要する時は、必要に応じてその間遺産分割を禁止する審判することになります。
「その他の場合」
遺産分割に障害があるその他の場合としては、遺産の大部分を占める不動産に第三者との間で境界争いなど民事訴訟が係属中で、これを解決しないまま分割するのが適切でない場合や、営業用資産の散逸を防止する必要がある場合などがあります。また、株式の換価分割を行うときに株式相場が低迷しているなど、直ちに分割すると遺産の経済的価値に著しい損失が生じる場合など即時の分割が相続人に利益に反する場合も「特別事由」が認められることがあります。しかし、これらの場合、分割を禁止しても単に問題を先送りするだけに過ぎない結果となることも多く、安易に分割禁止に頼ることは避けなければなりません。代償分割など現在行う分割の方法自体を色々工夫することによって問題を早期に解決する努力を怠ってはいけません。
「一部の分割禁止」
遺産分割を禁止すべき特別の事由は、遺産全体についてよりも、特定の遺産について生じる場合が多いと思われます。例えば、相続財産になるかどうか争いがある財産は残して、他の主な財産については一部分割を行い、争いのある財産については分割を禁止する事や、相続人に地位に争いがあるときには預貯金は一応現在の身分関係に従って分割し、不動産は前提問題が解決するまで分割を禁じることなどが考えられます。