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【佐倉市・家族信託・Ｆさん】障がいのある子供に財産を渡したい

佐倉市にお住まいのＦさんよりご相談です。

Ｆさんご夫婦には、知的障がいのある長男さんがいらっしゃいます。Ｆさんご夫婦もそれなりの年齢になってきて、将来、自分たちが亡くなった後の事を心配するようになったとのことです。特に、長男さんには知的障がいがあり、健常者よりは金銭的に負担がかかるので、将来Ｆさんの財産（不動産「アパート」と預貯金）を長男に相続ができるように、遺言書を作成しようと思っていたそうです。ですが、財産は残せたとしても、不動産（アパート）の管理や、金銭の出し入れや管理は難しいと思っています。何か良い方法は無いですかとのご相談内容でした。

「何も対策をしないとどうなるか？」

仮にＦさんが亡くなった場合で考えましょう。そうした場合2つ問題がでてきます。

①Ｆの遺産を遺された家族で相続する手続きの問題。

相続人全員で財産の分け方を決めた「遺産分割協議書」に実印で押印する必要があるのですが、長男さんに知的障がいがありますので、この遺産分割協議書に押印できないと考えられます。その場合、「代わりにハンコを押す人」として成年後見人を立てる必要がでてきます。成年後見人は家庭裁判所で選任してもらいますが、早くても１～２ヶ月はかかります。この間は、亡くなったお父さんの預貯金は解約することができません。

②相続したアパートやお金の管理は長男さんではできないという問題。

Ｆさんの財産であったアパートの管理を誰かが行わなければなりません。仮に、相続手続きをするために成年後見人が選任されていた場合でも、成年後見人は以下のことしかできません。（制限があります）

・財産の運用に融通がきかなくなる（本人のためにしか使えない）
・自宅の処分が難しくなる
・家庭裁判所から誰が選任されるかわからない
・第三者が選任された場合は継続して費用が発生する

上記のような問題があり、成年後見人を付けたからといって、万能ではありません。ましてや成年後見人には誰になるか判りませんし、一生、長男さんの財産を管理することとなります。（費用も掛かります）

「遺言を作っていたらどうなるか？」

仮に、今回のご相談当初に遺言を作成するとの事でしたが、遺言作成の場合は遺産分割協議が不要となります。公正証書遺言であれば、口座等の解約もスムーズに行う事ができます。また、Ｆさんの遺志通りに遺族が財産を継承する事ができます。よって、相続手続きは対策を何もしなかった場合に比べてはるかに円滑に進めることができます。ですが、相続手続きが終わってからは問題が発生すると推察します。やはり、長男さんはご自身で財産を管理する事ができないので、アパートの契約事や入出金の管理等は難しいと判断できます。よって、成年後見人の選任が必要となってしまいます。成年後見人はアパートの管理や財産の管理はできますが、結果的には限定的な管理しかできず、前述の通りの問題は発生してしまいます。

また、仮に長男さんが亡くなった時に、お世話になった人（施設等）がいたとしても、その方に財産を残すことは不可能です。もし、お世話になった方に財産（お礼等）を残す場合は、長男さんが遺言書を作成する必要がありますが、長男さんの知的障がいの度合いによっては、遺言書を作成する事もかないません。お世話になる方がいて、何がしかのお礼がしたくても、することもできないのです。

「家族信託なら解決できる」

長男さんの面倒や世話を、ご兄弟である長女さんが行ってくれるなら、アパートと預貯金を長女さんに家族信託します。そうすると、信託されたアパート・預貯金の管理を長女さんが行い、家賃収入もありますので、長男さんが生活に困る事もないと思います。また、Ｆさんが信託したアパートや預貯金の管理の為に、成年後見人をつける必要もありません。Ｆさんがお亡くなりになったとしても、信託された財産は長女さんが管理していますので、信託された財産に対しては相続手続きを行う必要もありません。

家族信託を契約しておけば、成年後見人を選任しなくても、長男さんが困る事はなくなります。加えて、長男さんがアパート経営について、多額の金銭を扱う事もなければ、繁雑なアパート管理（入居契約や維持修繕・賃料回収等）をする必要もありあません。

「もし長男が亡くなったら」

先にも述べたように、長男さんの知的障がいの度合いによっては遺言書を作成する事はできません。よって、財産をお世話になった方や施設等に対して残すことができません。ですが、家族信託を利用すれば長男さんが亡くなった後に、世話をした長女さんや、施設等にも財産を渡すことができるようになります。（当然、遺言書は不要です）

このように家族信託を利用する事で成年後見制度や遺言書では、できなかった事や制限されていることが可能となってきます。それぞれの家族構成や将来どのようにしたいか、じっくり考えその意思にそった家族信託を作る事で、さまざまな問題をクリアすることができます、将来に不安を考えている方や、安心した老後やその後の遺族の事でお悩みの方は、一度、当事無所にご相談ください。