【千葉市中央区・家族信託・Sさん】子どものいない夫婦でも最終的に自分の血族に承継させる
印西市にお住まいのSさんよりご相談です。
S(父)さんには、長男・次男の二人の子供がいますが、長男さんには子供がいません。S(父)さん名義の不動産をいずれは長男さんに相続させたいと思っています。仮に長男さんとその奥様が亡くなった後は、二男さんの息子(孫)に相続をさせたいと考えています。法律上も含めて、どうすれば自分の考え通りに相続させることができますか?と言うご相談です。
「二次相続以降の承継者の指定」
「家族信託を利用しないと…」
S(父)さんの不動産はアパートということですので、上記の関係図になります。この状態からSさんが亡くなった事を想定します。まず、S(父)さんはこのアパートを長男さんに相続させる旨の遺言を作成し長男さんがアパートを相続します。次に二男さんが亡くなった場合は、長男さんの相続人は、長男さんの妻と長男の弟(上記の図の二男)です。長男さんの妻の法定相続分は3/4、長男さんの弟(次男)の法定相続分は1/4ですから、基本的には大部分を長男さんの妻が相続することになります。上記のアパートも長男さんの妻が相続したとします。その後、長男さんの妻が亡くなったとしたら、その相続人は上記の図だと妻の兄弟姉妹になります。つまり、S(父)さんからすると、自分の財産が最終的には、血のつながりのない長男さんの妻の妹に行ってしまうということになります。
「家族信託を利用すると(受益者連続信託)」
家族信託を利用することによって、上記の問題を解決できます。
S(父)さんを委託者、孫を受託者として信託契約を結びます。
孫が受託者としてアパートを管理しますが、その収益は第1受益者であるS(父)さんに分配します。そして、S(父)さんが亡くなった場合の次の受益者(第2受益者)を長男さんとしておくと、S(父)さんが亡くなった後の収益は長男さんに分配されます。さらに、長男さんが亡くなった場合の次の受益者(第3受益者)を長男さんの妻にしておけば、長男さんが亡くなった後の収益は長男さんの妻に分配されます。なお、通常の相続であれば長男さんの妻が亡くなった後は、長男さんの妻の相続人(上記の図だと長男の妹)が相続することになります。
しかし、家族信託で長男さんの妻が亡くなった後は信託は終了して残余財産は二男さんの息子(上記の図の孫)に帰属すると指定しておけば、長男さんの妻の死亡後、アパートは二男さんの息子(上記の図の孫)が取得することになります。S(父)さんからすれば、自分の財産を最終的には自分の血族である孫に承継させることができます。
この様に、受益者を先々まで指定できるのが家族信託の大きなメリットです。実質遺言と同じ機能を、遺言ではできなかった二次相続以降にまでもたらすことが可能となります。この様な信託を受益者連続型の信託と言います。