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【千葉市中央区・相続手続き・Eさん】被相続人と特別な縁故のあった者の権利

千葉市にお住まいのEさんよりご相談です。

Eさんは20年前にご主人が亡くなり、その後ご主人のお父様(義父)と暮らしていました。お父様(義父)が5年ほど前に脳卒中で寝たきりになってしまい、以来Eさんがずっと看護をしていましたが、先日そのお父様(義父)が亡くなりました。お父様(義父)には相続人がいません。Eさん的にお父様(義父)の財産について、何か権利はあるのでしょうかとのご相談です。

「特別縁故者」

法律上被相続人との関係で子供の配偶者に当たる者は、被相続人と養子縁組をしていない限り相続権はありません。「相続人不存在」の場合、本来ですと相続財産はすべて国庫に帰属することになります。しかし、被相続人の意思を推測すると、国庫に帰属させるよりは相続人ではないものの、内縁の妻や最後まで献身的に被相続人の世話をした者などの一定の者に相続財産を取得させることを望むであろうと考えられる場合があります。こうした場合に、遺言制度があまり活用されていない我が国の実績を踏まえて設けられているのが、特別縁故者に対する相続財産分与の制度です。

「特別縁故者の意義と範囲」

民法によりますと、特別縁故者に当たるものとして次のようなものがあげられています。

①<被相続人と生計を同じくしていた者>
例えば被相続人と一緒に暮らしていた内縁の妻、事実上の養子、事実上の養親、子の嫁などで生計が同じであれば他人でも全くかまいません。

②<被相続人の療養看護に努めた者>
生活を一緒にしていなくても、被相続人療養看護に特に力を尽くした親族・隣人・知人などがいればこれに当たります。なお、付添看護師や家政婦などについては、仮に報酬を受けていたとしても、それ以上に特別の献身的努力をしたといえれば財産の分与を受けることもあります。

③<その他被相続人と特別の縁故があった者>
被相続人が遺言を残したとすれば遺贈の配慮をしたであろうと思われる程度に(上記①②に準ずる程度に)、被相続人との間に具体的・現実的な精神的・物質交渉があった者を指します。

なお、特別縁故者は自然人に限られるものではなく、法人でもよいと考えられています。例えば、公益法人・社会福祉法人・養老院や地方自治体・学校法人や宗教法人などがこれに当たるとされています。

今回のご相談の場合は、上記の①に当てはまりますので、他に相続人がいないのですから、この特別縁故者に対する財産分与の請求の申立てを家庭裁判所に対して行うべきです。なお、分与を受けることができるのは申立てをした者に限りますので注意してください。

「分与の具体的手続き」

特別縁故者に対する相続財産分与は、「相続人不存在」の場合の手続きの中で行われます。特別縁故者は、家庭裁判所における相続人捜索の公告の期限が満了しても相続人が現れない場合に、公告期間満了後3ヵ月以内に、被相続人との間の特別の縁故を具体的に明らかにした申立書を家庭裁判所に提出して、相続財産分与の請求をします。申立書の記載は、家庭裁判所が特別の縁故関係の内容を調査する手がかりとなります。そして、家庭裁判所は相続財産管理人の意見を聞き、申立人と被相続人との具体的関係、その期間、具体的状況、申立人の年齢、職業、相続財産の内容や状況等を判断した上で分与をするか否か、分与の額を決する事になります。

今回のご相談の場合は、Eさんはお父様(義父)と20年も一緒に生活をし、しかも5年間は寝たきり状態であるのを看病していたのですから大変関係が深い場合と考えられますので、相続人捜索の広告期限満了後3ヵ月以内に家庭裁判所に相続財産分与の申立てをしておけば、お父様(義父)の相続財産のうち相当額を取得できることになると思われます。なお、分与は遺言制度を補完するものですから、相続税法上は、Eさんは遺贈を受けた場合に準じて税金を支払う事になります。

<特別縁故者>

被相続人と生計を同じくしていた者

(例)内縁の夫・妻、事実上の養子・養親、継父母、子の嫁など

被相続人の療養看護に努めた者

(例)同居していない親族・隣人・知人等で特に療養看護に尽力した者

その他特別の縁故のあった者

(例)①②に準ずる密接な交渉のあった者

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