【千葉市花見川区・相続手続き・Sさん】相続税はいくら何にかかってくるのか?
千葉市にお住まいのSさんよりご相談です。
相続税が平成27年から変わったと聞いています。何が変わったのですか?また、実際に自分が亡くなった時に妻や子供にどれくらいの相続税がかかって、いくら相続税を納めなければならないか知りたいとのご相談です。
「平成27年1月1日より相続税法の改正」
平成27年1月1日以降に発生する相続から、相続税の計算方法が変わりました(増税)。相続税の基礎控除が縮小され、課税対象者が拡大しました。加えて相続税、贈与税ともに最高税率も引き上げられました。とくに東京のような都市部は不動産価格(路線価)が高い為、相続税が発生する相続件数が倍増してきています。
<基礎控除額が4割減少>
2014年までは【5,000万円+1,000万円×法定相続人数】
2015年からは【3,000万円+ 600万円×法定相続人数】
相続税率および具体的な計算方法については下記参照してくだいさ。
「相続税の算出方法」
①遺産総額(相続財産が全部でいくらあるか)
初めに行わなければならいのが、正味の遺産総額の確定(評価)です。試算により計算方法が異なりますが、おおよそ次の方法で算出のうえ合計します。
【表1 遺産総額の評価方法】
種類 | 評価方法 |
土 地 | 原則として路線価 |
建 物 | 固定資産税評価額 |
預貯金 | 相続発生日の残高 |
有価証券 | 相続発生日の時価(上場株式に例外あり) |
非上場株式 | 会社の利益・配当・純資産の額により算出 |
生命保険金 | 受取保険金ー(500万円×法定相続人数)※ |
死亡退職金 | 死亡退職金ー(500万円×法定相続人数)※ |
※生命保険金と死亡退職金は受取人固有の財産ですが、みなし相続財産として相続税申告の対象となります。
②基礎控除額
次に正味の遺産総額から基礎控除額を控除して課税遺産総額(課税のベースとなる遺産総額)を算出します。これは次の式により算出します。
【課税遺産相続(正味)-基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人数】
上記①の評価方法により合計した遺産総額が1億円であったとすると、法定相続人が3人であれば課税遺産総額は5,200万円になります。
【法定相続人:配偶者+子2人のケース(遺産総額1億円)】
1億円-(3,000万円+600万円×3)= 5,200万円
③法定相続人ごとに算出
課税遺産総額は法定相続人に応じた取得金額を算出してそれぞれの相続税を暫定的に計算します。暫定計算により相続税総額を出した後に、法定相続人が実際に取得した遺産総額の割合に応じてそれぞれの税額を計算し直します(相続税総額を按分計算)
【配偶者+子2人(遺産総額1億円・課税遺産総額5,200万円)】
<法定相続分で暫定取得額を計算>
①配 偶 者:5,200万円×1/2=2,600万円(暫定取得額)
②子(長男):5,200万円×1/4=1,300万円(暫定取得額)
③子(長女):5,200万円×1/4=1,300万円(暫定取得額)
<法定相続分(暫定取得額)に基づく税額を計算>
(【表2 相続税の速算表】参照:3人の取得額はいずれも1,000万円超~3,000万円以下の範囲内なので税率15%・控除額50万円)
①配 偶 者:2,600万円×15%-50万円=340万円(税額)
②子(長男):1,300万円×15%-50万円=145万円(税額)
③子(長女):1,300万円×15%-50万円=145万円(税額)
相続税総額=630万円(340万円+145万円+145万円)
<相続税総額を遺産総額のうち実際の取得額に応じて按分計算>
(遺産分割協議の結果、配偶者が5,000万円/1億円・長男が3,000万円/1億円・長女が2,000万円/1億円をそれぞれ取得したとする)
①配 偶 者:630万円×5,000万円/1億円=315万円→ゼロになる※1
②長 男:630万円×3,000万円/1億円=189万円
③長 女:630万円×2,000万円/1億円=126万円
※1:配偶者は配偶者控除(配偶者の税額軽減)により、相続による遺産取得額が法定相続分の範囲内であれば税金がかかりません。法廷相続分を超えて相続したとしても1億6,000万円以下であれば税金がかかりません。
<納付税額>
上記の計算結果納付税額は、配偶者=ゼロ・長男=189万円・長女=126万円となります。遺産全額を配偶者が相続すれば、配偶者税額軽減制度により納付税額はゼロになります(法定相続分を超えるが、取得額が1億6,000万円以下であるため)
【表2 相続税の速算表】
法定相続分に応じた取得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | 0 |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
※実際の相続税は、例えば法定相続分に応じた取得金額が6,000万円あった場合、最初の1,000万円が10%、次の2,000万円(1,000~3,000万円)が15%、次の2,000万円(3,000~5,000万円)が20%、最後の1,000万円(5,000~1億円)が30%をそれぞれ乗じて計算されます。計算を1回で済ますために速算表が編み出され、控除額を控除することにより複雑な計算を一本化しています。