【千葉市若葉区・相続手続き・Kさん】行方不明者の財産管理
千葉市にお住まいのKさんよりご相談です。
Kさんの知人の話なのだそうですが、Kさんの知人の親戚に一人で住んでいた高齢の老人が、生死も不明のまま行方が分からなくなっているそうです。この方の家や財産はどうのように管理すればよいかとのご相談です。
従来の住所や居所を去って、容易に戻る見込みのない者を、民法では「不在者」と呼んでいます。
この不在者が法定代理人やその人の為の財産管理人を置かなかったときは、利害関係人や検察官の申立てにより、家庭裁判所は「不在者財産管理人」を選択する等の不在者の財産の管理について必要な処分を命ずることができるものとされています。そして、この不在者財産管理人選任の審判の申立てをするには、不在者の戸籍謄本、戸籍附表、不在の事実を証する資料(警察署長が発行する家出人届出受理証明書、不在者宛の手紙や葉書で「あて所に尋ねあたりません」等の理由で返送された郵便物等)、財産目録、不在者の財産に関する資料(不動産登記事項証明書、預金通帳写し等)、申立人の利害関係を証する資料、財産管理人の候補者の住民票や戸籍謄本等を添付して、不在者の従前の住所地又は居所地の家庭裁判所に申立てをします。
家庭裁判所においては、申立書や添付資料を確認し、また、申立人から事情を聴取したり、関係者や関係機関に照会、調整をしたりします。そして、家庭裁判所は不在者財産管理人を選任するときには、不在者の財産の管理が適法かつ適切に行えるよう的確な人選をし、事案によっては弁護士や司法書士等が選任されることもあります。
不在者財産管理人は、まず、不在者の財産関係を調査して、財産目録を作成しなければならないものとされています。そして、不在者財産管理人は不在者の財産の管理状況を家庭裁判所に報告するものとされています。このように不在者財産管理人の主な職務は、不在者の財産目録の作成、家庭裁判所が不在者の財産の保存に必要と認める処分を行う事、財産状況の報告、管理の計算、保存行為、目的の物や権利の性質を変えない範囲における利用や改良行為であり、これらを超える行為には家庭裁判所の許可を得ることが必要とされています。
また、家庭裁判所は、いつでも不在者財産管理人を改任することがきるものとされ、また、管理人に財産の管理や返還について相当の担保を立てさせることができ、不在者の財産の中から相当な報酬を管理人に与えることができるものとされています。なお、不在者財産管理人が万一不在者の財産を不正に消費等したときは、民事上は損害賠償請求を受け、また、刑事上は業務上横領罪等に該当することがありますので、十分注意しなければなりません。
そして、この不在者財産管理人が選任されたときにおいても、本人が自ら財産を管理する事ができるようになった時、又はその死亡が明らかになった時、もしくは失踪宣告があった時は、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の申立てによって、その命じた処分を取り消さなければならないものとされています。