【千葉市中央区・遺言書・Iさん】外国人の遺言は可能ですか?
千葉市にお住まいのIさんよりのご相談です。
Iさんは長年お仕事を共にされている、韓国籍の男性がいるのですが、奥さんに先立たれ、子供が2人いるそうです。長男さんは日本に在住、次男さんは韓国に住んでいます。将来の事を考え、日本に住んでいる長男に日本での財産、韓国に住んでいる次男に韓国の財産をそれぞれに残したいと思っているそうです。こういう場合遺言書を作る事自体や、また遺言書作成可能であればどのようにしたら良いですかとのご相談内容でした。
「遺言の方式」
遺言の方式については、遺言の方式の準拠法に関する法律第2条に基づき、以下のいずれかに該当すれば有効とされます。
① 行為地法
② 遺言者が遺言の成立時に国籍を有した国の法律
③ 遺言者が死亡時に国籍を有した国の法律
④ 遺言者が遺言の成立時に住所を有した地の法律
⑤ 遺言者が死亡時に住所を有した地の法律
⑥ 遺言者が遺言の成立時に常居所を有した地の法律
⑦ 遺言者が死亡時に常居所を有した地の法律
⑧ 不動産に関する遺言については不動産所在地法
これによりよれば、Iさんのお知り合いの韓国籍の方の遺言は、日本法によるか、韓国法によるかどちらかであれば、今後、その韓国籍の方が日本に帰化しても、韓国に帰っても有効となります。韓国の遺言法は、日本の遺言法と類似しているのですが、日本法では認められていない録音による遺言が認められています。これは、その韓国籍の方が、遺言の趣旨、その姓名及び年月日を口述し、これに参与した証人が、遺言が正確である旨及びその姓名を口述するものです。
「遺言の効力等」
遺言の方式については前述のとおりですが、遺言の内容をなす個々の法律行為の準拠法は、個々の法律行為の種類に従って決定されます。例えば、遺留分制度の存否、割合は被相続人の本国法、すなわち、その韓国籍の方が今後帰化したりしなければ、長男さん、次男さんそれぞれ韓国法に基づく法定相続分の1/2の1/4となりますし、不動産所有権移転の対抗要件は、不動産所在地法となります。