【千葉市若葉区・相続手続き・Bさん】父の残した農地の遺産分割はどうすれば良いのか
千葉市にお住まいのBさんよりのご質問です。
お話を伺うと、Bさんのお父様が亡くなり遺産分割協議が難航しているとの事でした。相続人は母親・長男(Bさん)・次男の3人です。生前お父様とと一緒に農業を営んでいたBさんは、父の農地を引き継ぎ農業をしていこうと思っていましたが、次男である弟さんはサリーマンですが、Bさんが1人で農地を取得する事に反対しています。Bさんも困り果て、どのようにすれば農地を分割すれば良いのか、また農業委員会の許可が必要なのかもわかりませんでした。(遺産は農地だけで、Bさん自体も金銭的な余力はありません)
農業を引き継いで行う者が遺産の農地を単独で取得した場合、遺産が農地だけで、しかもBさんの場合債務負担の支払い能力がないときや、また現実に農業収入で生活する必要があり、お母様の扶養の問題が絡んだ時は、遺産分割は困難な問題になります。
「農地の細分化防止」
基本的には農地は、Bさんのような農業経営の承継者に取得させるべきで、弟さんのように農業をしない者に農地を細分化して取得させることは、できるだけ避けた方が良いと思われます。なぜなら、農地を細分化してしまうと、農業経営が不可能となってしまう場合が多く、農地の細分化防止は農業経営の安定の為に必要な事だからです。
「農地の分割」
農地以外にめぼしい遺産がなく、債務負担能力もない場合は農地の分割もやむを得ない事になります。また、Bさんのようにお母様がご高齢で、お母様ご自身で耕作することもできず、親族等の補助者の力を得て耕作し生活を維持することができるわけですから、被相続人の配偶者の扶養の問題も分割に当たり十分に考慮する必要があります。こういった場合、被相続人の配偶者に田畑の一部を分割すべきとの審判例があります。また、農地であっても将来住宅地に転用される可能性があるときは、Bさんの弟さんのように農業をしない者に分割しても差し支えないとされています。
「農業委員会の許可」
原則として、農地の移転については農地法により農業委員会の許可を受けなければなりません。しかし、遺産分割による農地の取得については例外的に許可を要しないとされています。ただし、平成21年の農地法改正に伴い、相続等によって農地の権利を取得した場合には、農業委員会への届出が必要となりました。
≪農地≫
原則 農業承継者に全部を取得させる←農地の細分化防止
例外 農地の分割 ・農地以外にめぼしい遺産が無く承継者に債務負担能力もないとき
・扶養する者がいるとき