【千葉市稲毛区・相続手続き・Kさん】内縁の夫が死亡、相続人のいない夫の財産(遺産)はどうなる?
千葉市にお住まいのKさんより相続に関するご相談です。
お話を伺うと、Kさんは20年間夫婦同様に生活してきた内縁の夫がおり、その夫が亡くなったそうです。実はその夫
には身寄りがなく相続人もいらっしゃらないとの事でした。そこでKさんは特別縁故者となって家庭裁判所から夫の財産の分与を受けることとなったそうですが、こういった場合は相続税の申告はどうのようにしたら良いかとのご相談でした。
「特別縁故者への相続」
民法では、被相続人が財産を有している時に相続人のあることが明らかでない場合、または存在しない場合において、被相続人と生計を同じくしていた者、あるいは被相続人の療養看護に努めた者、その他特別の縁故があった者がいるときには、これら特別縁故者は家庭裁判所に対して相続財産の分与を請求することが認めらています。
その分与財産について、相続税法においては、特別縁故者が相続財産の全部または一部の分与を受けた場合、その財産の取得を被相続人から遺贈により取得したものとみなして、相続税を課税することとしています。
「分与を受けた者の課税時期・申告期限等」
相続税を課税するうえで、相続税の課税時期と課税財産の価額の評価時点は一致するのが原則ですが、家庭裁判所の審判により特別縁故者に財産の分与が行われるまでには、相当の期間を要します。そのため、次のような注意点があります。
●課税時期…相続人からの遺贈により取得したものとみなしていることから、一般のとおり相続の開始日です。したがって相続税の計算上、基礎控除額や税率等は、被相続人の相続開始の日に適用される法令によることとなります。
●申告期限…家庭裁判所の審判にいたるまでに一連の手続きが必要とされているため、相続税法に特別の規定が設けられており、財産の分与があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内となっています。
●相続財産の価額…相続開始時の相続評価額ではなく、分与時の相続税評価額によります。
特別縁故者は被相続人の1親等の血族及び配偶者ではありませんから、納付すべき相続税額は、通常の相続税額の2割に相当する金額を加算した金額となります。
また、配偶者に対する税額控除の規定、未成年者控除の規定、障害者控除の規定及び相次相続控除の規定の適用もありません。
なお、特別縁故者が被相続人の死亡前3年以内に被相続人により財産の贈与を受けていた場合には、この受贈財産を相続税の課税価格に加算して相続税を計算し、その贈与税相当額を税額控除をして納付すべき相続税を計算します。
<特別縁故者>
①被相続人と生計を同じくしていた者
②被相続人の療養看護に努めた者
③その他被相続人と特別な縁故のある者
<相続税法の取り扱い>
①課税時期…相続開始の日(被相続人の死亡した日)に適用されている法令
②申告期限…財産分与のあったことを知った日の翌日から10ヵ月以内
③相続税の2割加算…納付税額は通常の相続税に2割を加算した金額
④財産の価額…分与時の相続税評価額