【千葉市中央区・相続手続き・Sさん】息子が急死し死亡直前に入籍した妻の相続分はどうなるかという相談事例
千葉市にお住まいのSさんよりの、相談事例です。
詳細を伺っていくと以下のようなご質問でした。
Sさん家族構成
夫:既に他界
妻:Sさん
子:長男(事故死)
嫁:長男の嫁(長男の死亡2週間前に入籍)
既にご主人を亡くしているSさんの心配は、今後は長男をたよって生活していこうと思っていた矢先に長男が亡くなり、長男の嫁とはあまり折り合いがあっておらず、長男の財産はその嫁が相続してしまうのでしょうかという事でした。また、Sさんのご主人がが亡くなった際に、Sさんの住んでいる自宅土地を長男さんの単独名義に変更してあるので大変心配だという内容でした。入籍をして2週間もたたない嫁は長男の財産を相続する権利はあるのでしょうか?(Sさん的にはその嫁は、半ば強引に入籍したところがあり、その嫁を良く思っていません)
「婚姻の成立」
日本においては、婚姻の成立に法律上の手続を必要とする法律婚主義を採用しています。民法では婚姻の効果として同居・協力・扶助等の義務を課しています。そこには財産上の効果や第三者の利害も絡みます。
このようなことから、ある男女間において婚姻が成立しているのかどうかが客観的に判断できないと困ります。そこで、日本の民法は法律婚主義をとったのです。
婚姻の成立の実質的な要件としては、当事者に婚姻の意思があること、当事者が婚姻適齢期にあること、当事者間に一定の人間関係がないことなどが必要とされています。また、婚姻の成立の形式的な要件としては、戸籍法に基づく届出が必要とされています。
つまり、男女間に婚姻する意思があり、婚姻届を提出していれば婚姻が成立します。今回のご相談については、たった2週間であっても長男さんとそのお嫁さんとの間に婚姻の意思があり、婚姻届が役所の戸籍係に提出してあるならば、法律上は正式な配偶者となります。したがって、お嫁さんは長男さんの正式な配偶者として扱われます。
「相続人と相続分」
お嫁さんが正式な配偶者となりますと、今回のご相談内容では、長男さんを相続できるのは配偶者でるお嫁さんと母親であるSさんになります。
その各人の相続分ですが、配偶者であるお嫁さんが2/3、Sさんが1/3となります。たとえ2週間であっても婚姻届を提出し正式な配偶者となっていれば、何年・何十年も婚姻関係にあった配偶者との間に相続分の差は全くありません。
したがって、長男さんの財産の2/3はお嫁さんに相続されることになります。
「結論」
今回のご相談内容を鑑みると、ご自宅の土地建物が長男さんの単独名義になっているならば、その内の2/3はお嫁さんに相続され、残りの1/3がSさんに相続されることになります。
ここからは、心情的な部分もあるかもしれませんが、今後においてご自宅をどう利用していくか、お嫁さんと良く話し合うことが必要だと思います。